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暇人さんの症例top 暇人さん結婚物語 暇人さんの症例topに戻る	昭和57年5月下旬、雨が毎日降っていた、ある日の夜、私は仕事が忙しく、残業でひとり残っていました。そこに、職場で一番上の上司の方が現れ、私に対して「今、年齢はいくつか？」と話掛けられました。私は「31歳です。」と答えました。すると突然、「見合いをしてみないか」と言われました。私は、びっくりしました。 　それまで、その上司と話をしたこともなかったので、足が悪いことをご存じないので、見合いの話をされたと思い、「私は、足が悪いので、結婚は考えてないです。」と言いました。すると、「足が不自由なのは知ってるよ、でもなぜ足が不自由だからと言って結婚しないのか？結婚しても好いじゃないか」と言われました。「女性は、足が悪い人を結婚の対象と考えないでしょう」と言いました。「なぜ、そう思うか？」また、質問されました。私は、「一般的にそうでしょう」と生意気にも答えました。 「そうか、今まで見合いをして断られたのか？」と聞かれたのでした。「いいえ、そういう訳ではありません」と返答しました。「じゃあ、一度見合いをしてみろ、写真があるんだ」と言って1枚の写真を私の手に渡されました。 　写真には、阿蘇の山を背景に車の前で微笑む女性がいました。明るくて、優しそうな顔をしていました。「その女性はＹさんと言うんだ。うちの会社の事業所の所長の娘さんだ」と言葉を続けられました。 　そう言われた時、3か月ほど前、Ｙさんの家を訪れたことを思い出しました。実はこの頃、私は、給与担当で給料・賞与を現金手渡しから銀行振込に変更するための事務を行っていました。社員全員から給与振込依頼書の提出を求めていましたが、このＹ所長さんだけが、未提出だったのです。それは、3か月間ほど病気で休職されていたため、手続きが出来ていなか ったのでした。 そこで、Ｙさんに電話を入れて、給振の説明文と給振依頼書を持って、自宅を訪問しました。その時、玄関の下駄箱に若い女性用の靴がありました。この家には、お嬢さんがいらっしゃるんだと思いました。まさか、その時の靴の持ち主が、あとで自分の配偶者になるとは、思いもしませんでした。 　上司とＹ所長は、学校が同窓だったというのは、結婚後知りました。しかし、その時は全く知らなかったので、どう繋がって、見合い話になったか分かりませんでした。 　私は、翌日の朝食時に両親にこの話をしました。両親は大変喜んで、「見合いは何時するのか？早い方が良い」と言いました。その時、私がいつまでも結婚しないのを心配していたんだなあと思いました。 　それから、6月の梅雨の時期に見合いをしました。職場の近くのホテルの一室でした。相手の女性は、写真で見た印象と少し違って、背が高かったのですが、優しい感じは写真のままでした。テレビとかで、女優さんなどが、初めて会った相手に、運命を感じたなどと話をしていますが、私もこの時、この人が僕のお嫁さんになると思いました。相手の気持ちなど聞いてもいないのに・・・。 　そして、見合いが終わり、ホテルを出る時、上司がタクシー券を私に渡し、これで、彼女の家まで送るようにと言われました。タクシーの車の中でも好く話をしました。私は、気が合う人だと思いました。大学時代の嫌な思い出があり、結婚はしないと思っていたのに、見合いしたばかりのその夜、突然結婚したい気持ちになったのです。 　翌日の朝、両親から見合いの相手は、どうだったか聞かれました。優しそうな人だったと言いました。それだけ言って、あとは何も言いませんでした。その日は、職場に行って、いつものように残業で遅くなり、帰宅が遅くなりました。両親は私の帰りを待っていて、お見合いの返事を早くしたが好いと言いました。彼女のことは、気に入っていましたが、足のことがどうしても気になっていました。しかし、意思表示だけはしようと思い、翌日上司の席まで行き、大変良い話なので、相手が好いならば、話を進めて貰うように依頼しました。上司は大変喜び、俺に任せろと言われました。そして、その夜、私の席にまで来られ、相手も悪い印象でないと言っていたので、暫く付き合うようにと話されました。 　それで、彼女が足のことをどう思っていたのか、気になっていたので知りたくなり、そのことを尋ねました。「気になるとは言ってなかったので、そんなに悩むことではない」 と強い口調で答えられました。その週の日曜日、朝から彼女に電話をしてどこか行きませんかと誘いました。そして、Ａ山に行きました。火口の近くまで行き、昼ご飯を食べに行き、どうしても聞きたかった足のことを話しました。すると、「貴方は一生懸命生きているのが分かる、別に気にならない」みたいなことを言ったと思います。正確にはなんと言ったのか、今思い出すことが出来ませんが、それで、大変安心したことを覚えています。その場で、翌週の日曜日にまた会うことを約束しました。 　次の週は、日曜日が待ち遠しくなりました。その日は、海の方へ行きました。島々に架かる橋を渡り、海を見渡せる高台に登りました。そして、彼女が作ってきた弁当を食べました。とても美味しかったこと、覚えています。 　それからは、休みの日だけでなく、仕事が終わった後も、喫茶店でコーヒーを飲み、その後夕ご飯を共にしました。毎日が楽しいものでした。結婚は出来ないものと諦めていていたのですが、希望が湧いてきました。この人と結婚しようと決心していました。 　そして、暑い夏が終わり、秋の10月に意を決して、結婚をしてくれないかと思い切って言いました。彼女は承諾してくれました。天にも昇る気持ちでした。両親に報告し、彼女の両親にも許しを得ました。翌日は上司にも報告しました。とても喜んで頂きました。そして、私が仲人になると仰って、結納の準備のため、私の家まで来られたのでした。 　11月に入った最初の休日に、上司の仲人夫妻と両親、彼女の両親と会い、結納の日取り等を決めました。結納は12月に彼女の家で行われました。上司ご夫妻、彼女のご両親、私の両親それに彼女と私が揃いました。その時、彼女は和服を着ていました。初めて見る彼女の着物姿でした。綺麗だなと思いました。 　そして、結婚式は翌年、昭和58年3月30日と決まりました。今年で、結婚31年目になります。子供にも恵まれ、孫もふたりいます。 　妻との見合いの席を設けられ、仲人もされた上司は、我々の結婚式の10か月後、還暦の年に現職で亡くなられました。私の感謝の気持ち、お礼の言葉を正確にお伝え出来たかなと思うと自信がありません。忘れえぬ恩人のおひとりです。	3つのえくぼ　目次 3つのえくぼＴｏｐ 固定術経験者の症例集 OFF会報告top アンケート結果 股関節日記 掲示板ダイジェスト リンク集
	もみじコメント 　会ったその日に、結婚することを決めたのですか。本当に運命の出会いですね。 　私はお見合いを8度しました。会った瞬間に「生理的に受け付けられない。」と思うような男性と、1～2時間を過ごす苦痛は忘れられません。そんな経験をした後、次のお見合いをしようと思えるようになるまでには、時間が必要です。今でいう、婚活は、エネルギーが必要なのです。そんな経験をしている私なので、会った時に、すぐに好ましく思える女性とお見合いすることができ、その日に結婚を決められるなんて、なんてうらやましいことでしょう。 　女性の障害者として思うことは、男性は妻子を養うだけの収入がなければ、健康な人、障害者に関わらず、結婚は難しと思います。それだけ、男性は結婚に対して重い責任を背負っています。しかし、妻子が生活して行けるだけの収入があって、人柄が良ければ、障害はハンディーにはならないように思うのです。 　一方女性は、家事ができるだろうか。障害を抱える女性が健康な子供を生み育てられるのか。といった未知の能力を問われます。そこに偏見や差別意識も重なって、なかなかお見合いのお話が来ないものです。これは、私の経験でもあります。 　これが、男性優位社会なのかもしれません。 　暇人さんは、何度も奥様が自分の障害のことをどう思っているのだろうかと心配されていましたが、暇人さんが心配するほどには、奥様は気にしていない印象を持ちました。 　きっと、暇人さんは、小学生の頃にいじめられた経験があるので、神経質になっているのだろうと私は思いました。小学生の頃から20年近くが経っているというのに癒えない心の傷。いじめは本当に残酷です。 　奥様やお仲人さんをはじめとする、暇人さんの結婚を祝福してくださった人たちは皆、暇人さんの誠実なお人柄と努力をを認めてくださったのだと思います。 　人工股関節全置換術を受けた時の経験談からも、仲良し夫婦であることが良く分かります。これからも、末永く仲良し夫婦でいてください。

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