小学校入学前に、右股関節の固定術を受けたために、股関節の屈曲が、ゼロ度という現実を知ったのは、何時であったか、覚えていません。

中学生の頃は、一生この状態は続くのだと認識していたように思います。

しかし、昭和48年地元発行の新聞に、人工股関節の記事が載ったこと
により、かすかな希望が芽生えました。

その後、有名大学病院等の診察を受けましたが、結核性の股関節炎には、やはり固定術を施すというような内容で、もう人工股関節のことは、諦めようと自分に言い聞かせました。

しかし、平成12年の冬、インターネットでＳ大のＨＰで「股関節だより」を偶然見つけました。そして、その中には人工股関節全置換術のアンケート調査結果が掲載されていました。

それから、「股関節だより」の内容を隅から隅まで読むようになりました。

それは、平成14年頃、「股関節だより」の中に私と同じ症状で、Ｓ大病院で、人工の手術を受けられた方が、執刀されたＨ教授に対して、お礼を述べられている文章を発見しました。

その方は、私と同じ地方の方で、Ａさんでした。
私は、Ａさんの文章を何度も読み返しました。
中ほどに、Ｓ大での診察時のＨ教授の言葉がありました。

「手術は出来ますが、あなたの右股関節脱臼による人工股関節置換手術は、従来の人よりも3倍難しい。また左股関節硬直の切り離し人工股関節置換手術は、5倍も難しいが、同様の方の手術を7回も行って、それぞれの患者さんは、手術後楽に歩かれてますよ。」

その後に、Ａさんのその時の気持ちが書かれてました。
「私にとっては、信じられない夢のような話でありましたが、7回も経験がおありなことは、手術が出来ることが間違いないと信じて夢が覚めない内に、また夢が叶えるならと思って、その場で手術を受けることをお願いしました。」

それまで、私と同じような股関節の固定術を受けられた方の存在を知らず孤独でしたが、小さい頃に股関節障害で苦労された方の内容を知ることが出来ました。

そして、私もＡさんのように、手術が出来るなら、今すぐにでも手術を受けたいと思いました。
Ａさんが書いておられてますが、まさに「信じられない夢のような話」でした。
その夜は、とうとう興奮して、夜寝ることが出来ずに、朝を迎えました。

この時から、人工の手術は夢物語ではなく、現実の物となりました。
この文章に出会えた事が人生の一大転機となったのです。
大変励まされたのです。感謝の言葉もありません。

私も手術をした後にこのように、同じ症状の方を励ますようなものを、いつか書きたいと思ったのです。