暇人さん（手術の決断）2014-04-21 (Mon) 13:06:36

それは、3年ほど前だったと思います。
プールで、70歳位の女性の方に話しかけられました。
「どうしたの、その足交通事故でそんなになったの？」

「小さい頃病気で、股関節の固定術を受け、2年前に股関節を人工にしました。」
私は、そう答えながらも、次には、「人工股関節とは？」の問いが必ずあり、話が長くなると思いました。

しかし、その方は、「そうなの」の返事だけで、人工についての質問は、ありませんでした。その場はそれだけで別れました。

翌日またその方とプールでお会いしました。
その方は、私に近づいてきて「実は、私も股関節が痛くて、困っているの」と切り出されたのです。

そして「ある病院では、今すぐ人工の手術を勧められているが、他の病院では、手術は、暫く様子を見ましょう。」と言われていることを話されたのです。

そして、「どちらも市内の有名な整形外科の病院なのに、どうして見立てが違うのかしらね。あなたどう思う」と聞かれました。

なんとも答えようのない質問でした。返事をせずにいると、さらに質問がありました。「手術したが好いか、温存したが好いか」でした。

人の人生を決めるようなことを簡単には言えないので、やはり黙っていました。すると、それを察知したように、「御免ね、変な事を聞いて、でも、私迷っているの。痛いけど、夜寝れないほどじゃないしね。誰か人工の手術をした人に聞いてみたかったの、手術を決断した決めてはなにかと。」と話されました。

その方の真剣な顔つきで分かりました。本当に悩んでいることが。

「私は、30年ほど前から、人工の手術を受けたいと思っていましたが、やはり、2、3年は、体が自由にならないので、退職せざるを得ないが退職後、収入が途絶えるのが不安、また感染症、脱臼が心配でした。しかし、そうなったら、その時考えようと思い、手術に踏み切りました。」と答えました。

それから、何度かその方とお話ししました。いつも人工の話ばかりでした。

以前は、プールサイドを歩く姿は、一般の方とそう変わりはなかったのですが、ここ3ヶ月位は、歩くのが辛そうでした。そして、1ヶ月ほど前から姿を見なくなりました。

そして、先日その方の友達の方が、私に声を掛けられました。
「あの方、人工の手術を受けるため、市内の病院に入院された。近頃は、寝られないぐらい痛いと言っていた。北海道や佐賀の病院も検討されたみたいだけど、結局は、市内の病院に決められたみたいよ。」

その時、あの方の言葉「手術を決断した決めてはなに」が蘇りました。
そして、答えにならない返事をしてしまったことを、思い出し、自問しました。
もっとあの方のことを考えた返事は出来なかったのか？