患者から患者へ

Ｑ1：自骨手術のメリット、デメリットを教えてください。
Ａ1：自骨手術は、自分の骨を切ったり張ったりする手術です。手術後の安静期間が長く、ベッド上でリハビリをしても筋肉の衰えは避けられません。また、入院生活では看護師さんの介助が必要です。排泄が一番辛い。体の清拭、シャンプー、歯磨き等、ベッド上安静の時は、自分では何も出来ません。洗濯は家族に頼むより方法がありません。入院期間が長いので、ご家族の生活も一変するでしょう。
最近は手術後数日で車椅子に移れるようです。
退院後も、全荷重ではなく、部分荷重で退院です。昔は全荷重できるようになるまで入院させてくれたのですが、制度が変って、早く退院しなければならないからです。整備された病院では部分荷重の生活もそんなに支障はありませんが、家で杖を突いて歩き、家事をするのは大変です。手術後のリハビリ期間も人工手術より長くなります。自骨の手術は手遅れがあります。セカンドオピニオンを得る等して納得して手術を受けてください。
　メリットとしては、自分の骨ですので、うまくすれば一生もたせることができます。人工のデメリットである脱臼、感染症、再置換等の心配がありません。

Q2：全荷重ってなんですか？
Q2：いわゆる片足立ちのことです。歩くということは、右足を片足立ちして左足を前に出し、今度は左足で片足立ちして右足を前に出すことです。全荷重とは、杖を突かずに片足立ちすることです。

Q3：部分荷重はどのようにするのですか？
A3：体重計に足を乗せ、体重の50％をかけてみます。その状態を覚えていて、杖を突く時に杖で体重の50％を支え、残りの50％の体重を足にかけることです。これが50％部分荷重です。部分荷重は、骨の状態が良くなるにつれて徐々に荷重が増やされ、やがて全荷重が許されるようになります。全荷重になると基本的に杖を外せますが、当分の間は、外出時には杖を突いた方が良いでしょう。周りの人も気をつけてくれます。公共交通機関では、席を譲っていただけることもあるでしょう。なにより、杖はお守りです。

Q4：人工股関節全置換術のメリット、デメリットを教えてください。
A4：自骨手術と反対で、手術後1日か2日後には、直ぐに足に荷重をかけてベッドから出られます（離床）。リハビリも早々と始まりますので、筋肉の衰えがありません。看護師さんの介助はあまりありません。少なくとも、筆者は排泄の介助は受けませんでした。体の清拭は、足以外は自分でできました。車椅子での移動が可能になると、歯磨きは自分でできます。シャンプー、シャワーは、抜糸後（手術から10日後）でした。しかし、病院によってこれは様々で、手術のキズの上にテープを貼り、直ぐにシャワーが浴びられる病院もあるようです。人工の手術には手遅れはありません。十分に考えて、納得してから手術を受けてください。
　デメリットは、自分の骨ではありませんので、耐用年数が過ぎて、緩みが出たら再置換になります。再置換には手遅れがあります。手術後は必ず定期健診を受けて、医師の指示に従って、適切な時期に再置換術を受けてください。そうすれば、問題は少ないと聞かされています。人工物には免疫システムが届き難いので、歯周病、膀胱炎には気をつけるように言われました。体内の細菌が人工股関節にくっ付くと、抗生剤が効きにくいようです。手術中からリハビリ中には、骨折（ひび）の心配があります。可能性は0.1％程度だと聞かされています。退院後は、脱臼に気をつけてください。体をひねるような姿勢は危険です。入院中に理学療法士や医師から、患者個人個人の状態に応じて指示が出るでしょうから、その指示に従ってください。

Q5：脱臼したらどうしたら良いのでしょうか？
A5：脱臼したら体重がかけられませんので、直ぐにわかります。至急救急車を呼んでください。病院に到着すると、麻酔をかけて外れた股関節を医師が入れます。手術ではありませんので、麻酔から覚めたら直ぐに帰宅できます。何度も脱臼するようでしたら、再置換術を受けることになります。

Q1、A1〜Q5、A5までは筆者の経験です。なお、筆者は脱臼の経験はありません。医師の説明を記載しました。